二次小説をもっと上手く、そして面白くするためのテクニック

0.はじめに

このページは二次小説を書き始めた者がテクニック等をまとめたページです。
過去に二次小説を制作した際にまとめたアジャイル開発によるノベル構築も参考になるかもしれません。
なお、このページのテーマとして二次小説とを扱います。
実際に二次小説をつくる過程を追っていきます。元ネタは『とある科学の超電磁砲』鎌池和馬著です。

1.文章のふくらませ方

まず、文章を完成させなければ小説は成り立ちません。
最初から綺麗な文章を書くことは難しいので、思いついた文章をふくらませてみましょう。

美琴は超電磁砲を放った。

修正1 目で見える情報を追加してみる

美琴は指先から白い雷撃を生じさせ、超電磁砲を放った。

修正2 音の情報を追加してみる

美琴は指先からバチバチと白い雷撃を生じさせ、超電磁砲を放った。

修正3 他の付加情報を付け加える

美琴は照れ隠しに指先からバチバチと白い雷撃を生じさせ、超電磁砲を放った。

修正4 比喩表現をぶっこんでみる

美琴は茹でダコのように真っ赤になりながら照れ隠しに指先からバチバチと白い雷撃を生じさせ、超電磁砲を放った。

修正5 表現がくどいので分割

照れ隠しだろうか。美琴は茹でダコのように真っ赤になりながら指先からバチバチと白い雷撃を生じさせ、超電磁砲を放った。

修正6 読みやすさに合わせて表現を変更

照れ隠しだろうか。美琴は茹でダコのように真っ赤になってバチバチと指先から火花を散らし超電磁砲を放った。
こんな感じで膨らませれば負担が少ないかと思います。基本ちょい足しと置き換えで文を伸ばし、読みにくくなったら分割します。
ただし、比喩表現を使う場合には注意が必要です。
やればやるだけ文章は長くなりますが何を伝えたいのかぼけてしまいます。比喩を使いすぎてその原作小説の雰囲気をぶち壊すことのないように気をつけましょう。

(お世辞にも上手くない)比喩を使いすぎて意味がわからない例

照れ隠しだろうか。美琴はまるで禁断の果実のように頬を紅色に染めながら、グラインダーで鉄片を削りとるかのごとく激しい火花を散らし、超電磁砲を放った。

2.同じ表現の繰り返しに注意

ポイント1 同じ表現を繰り返さない(特に文の始まりと終わり)

表現が揃ってしまうと、テンポが悪くなります。
読んでみると分かりますが、文ごとの繋がりが切れてしまっているためと考えられます。
文の出だしが揃わないように、また語尾の~だった。~だ。~である。などの表現が重ならないようにすると改善されます。

美琴は指でコインを弾き上げ
美琴の腕に電流が走り超電磁砲が繰り出され

修正後

美琴は指でコインを弾きあげ
彼女の腕に電流が走り超電磁砲が繰り出され

ポイント2 似た言葉をテンポよく使う(韻を踏む)

前項と矛盾する項目かもしれませんが、同じ繰り返しの言葉でも韻を踏むようにすると逆にテンポが良くなります。
韻を踏む手法は俳句や詩、それにラップでよく使われます。ベタなテクニックですがそれだけに有用です。
また、それと合わせて似た語句を使って対比させたり、全く同じ言葉で「天丼」(お笑い用語:同じ言葉を繰り返し笑いを誘う手法)を狙う方法もあります。
ただ、単純すぎるとオヤジギャグとみなされてしまう可能性も否定できませんが……

美琴はウンウンと首を傾げてとても満足そうだった。
その顔は晴れやかな笑顔だった。
一方、白井黒子はウンウンと頭を押さえて唸っていた。
その顔は曇っていた
何事もやり過ぎるとくどくなりますので、ご注意を。

ポイント3 何か上手いことを言わせてみる

使いたい言葉がそのキャラと合っているかどうかを考える必要がありますが、何かシャレた言葉を言わせてネタとして使うのはいかがでしょうか?
注意したいのはその使用状況とその後の展開です。周りの反応はその状況によって変わってきますのでその辺りを考慮しないとキャラクターにブレが出てしまいます。

2つの意味が含まれているシチュエーション

その1 海原と一方通行の場合

「これが今回の指令書です。軽く目を通しておいてください」

待機していた一方通行に海原が差し出した紙。それは任務の概要が記載されたものだ。
紙面の上半分に書かれたタイムスケジュール。
だが、そこにはたったの2行しか書かれていなかった。


「10:00 殲滅開始、同日10:05殲滅完了――随分シンプルなこッた。ま、やるこたァ変わンねェか」
「まぁまぁ――そんな事言わずに……中身が詰まっているんですから」
「何、上手いこと言ったみたいに得意げになッてンだ? ァン!?」
「怖いですね……首筋のスイッチに手を伸ばすのは止めていただけませんか?」

その2 吹寄と3バカの場合

吹寄から渡されたのは一端覧祭の進行表だった。
紙面の上半分に書かれたタイムスケジュール。
だが、そこにはたったの2行しか書かれていなかった。


「我らがクラスは10:00 開始、同日10:05完了――随分とシンプルだにゃー」
「な、中身が詰まっているのよ! 文句ある!?」

このような反応を想定していたのだろう。吹寄の用意したような素早い切り返しには少し照れが混じっていた。

「いやぁ~毎度ながらキレのあるツッコミにボクぁ……不覚ながらゾクゾクしてまいりましたよ?」
「……あの、吹寄サン? 照れるくらいなら上手いこと言わなければ良いのでは?」
「うるさいわよっ! たとえ私が少し恥ずかしいなと思っていたとしても貴方には関係ないわ! 上手いこと言ったことには変わりないもの! ホラホラ、みんな! 持ち場を離れず最後まで集中よ!」

3.会話文での注意

ポイント1 誰が話しているのか明確にする

小説という形式で文章を発表するならば文章の前に名前を書く台本形式のSSは邪道。
テキストの色を変えるのも表現としてはアリだと思いますが、できれば避けたいところです。

ありがちな台本形式のSSの例(非推奨)

黒子「お姉さま~」
美琴「ビリビリ」
まずは、台本形式から脱却しましょう。やることは単純明快で台詞の前の名前を外すだけです。
そこで、誰が話しているのか分からなくなるようであれば対策が必要です。
基本的に地の文で説明すればいいのですが、会話文のようなテンポがなくなるという欠点があります。 複数人が喋る場合は話し方に特徴を持たせるか、特定できる情報を付加して地の文を減らしてみるとすっきりします。

地の文で説明しているが、あまり上手くない例

「敵はすぐ近くにいます! 注意してください!」
初春はモニタを眺めながら三人に指示を送った。
「了解ですわ」
黒子が返事をする。
「了解!」
美琴が返事をする。
「こっちも了解~」
佐天が金属バットを振り回しながら返事をした。

誰が話しているか分かりやすいように会話文を最適化した例

初春はモニタを眺めながら三人に指示を送る。
御坂さんと白井さんは学外を……佐天さんは学内を探してください!」
「了解! お姉さまの背中は私が守りますわ!」
黒子……ってどこ触ってんのよコラ!」
二人して、何やってるんだか……初春、そっちから見える~?」
上のようなことに注意しながら二次小説を書いてみることにします。

4.制作プロセス

4-1 プロットの作成

それではプロットの作成手順です。プロットとは話の流れを組み立てるために文章を書く前に行う下準備のことで、設計図や構想にあたります。
今回は分かりやすいように起承転結でシーンを分けてみました。

初期プロット

シーン1 初春と佐天は怪奇現象について話す
シーン2 黒子と美琴登場、事態は深刻化しているという情報あり
シーン3 捜査に乗り出す
シーン4 解決(ネタばらし)

4-2 シーンの内容を箇条書きにして具体化する

では、プロットの詳細をさらにつめていきましょう。
思いついたことを箇条書きにしていきます。
いい案が思い浮かない場合は疑問文で書いて後から修正するのもありかと思います。
注)今回はSSを構築する作業を紹介するのが目的ですから、ネタバレだというツッコミはご容赦ください。

プロットの詳細を作成

全体に関すること
・オチを悟られずに表現する
・規模は2000字程度(目標)

シーン1 初春と佐天は怪奇現象について話す
・場所は風紀委員177支部
・初春と佐天が雑談
・初春はいちごおでん。佐天は酢昆布を持参
・クラスメイトが話していた話題「増殖する草」

シーン2 黒子と美琴登場、事態は深刻化しているという情報あり
・黒子と美琴現る(お土産持参)
・常盤台でも同様の事例あり?
・それはとても恐ろしいことだと言う
・どうやったら深刻にできるのか? → 被害者は数日間ノイローゼ気味になった

シーン3 考証
・被害者は最近ダイエットのために食生活を変更しようと試みた経緯あり。
・皆、インターネットの情報に惑わされている

シーン4 解決編
・共通点は料理の「未経験者」
・オチ 増える乾燥ワカメ

プロットを立てるポイント

  • 最終的な話の着地点はある程度決めておく(途中の展開は後から変更する可能性あり)
  • 重要情報(オチ)を巧みに隠すようにプロットを立てる
  • 全体のボリュームを定める
  • 複雑なプロットになると、日付とキャラクターの居場所を表にして管理することもあるようです。

    4-3 文章に起こす(ラフな文章)

    作成したプロットを元に思いついたセリフや展開を書き出していきます。
    この時点では展開も歯抜け状態です。
    文章をふくらませつつ推敲を繰り返していきましょう。
    //で始まるのはコメント文として後で修正するための印としてつけてあります。

    プロットからラフな文章を作成

    シーン1 初春と佐天の話

    風紀委員第177支部。
    佐天涙子は初春飾利の元を訪れていた。

    //適当に初春と佐天の仲いいやり取り。

    シーン2 黒子と美琴登場

    「それは、深刻ですわね……」
    「白井さん!? 一体どこから」
    「話は聞かせてもらいましたわ……お姉さま、どう思います?」
    「なんというか、それって迷信でしょ?」
    「それがそうでも無いらしいんです……実際にノイローゼになった子もいるらしくて」
    「事態は深刻ってわけね」

    シーン3 考証

    美琴は何かに気がついたようだ。
    「初春さん、ちょっと調べてもらいたいことが……」
    「何ですか?」

    シーン4 解決編

    「これですわね……例の増殖するアレ」
    「乾燥ワカメ!?」

    //ダイエットという名目上誰にも相談できず、料理苦手な女子学生がインターネットで得た情報でわかめサラダを作ろうと思った結果……

    「これも佐天さんのおかげですわね」
    「え? 何でですか?」

    佐天涙子は首をかしげながら酢昆布を口に含んだ。

    END

    4-4 ストーリーをつなげる(第1稿)

    部分的に展開が強引な部分が残っていますが、ストーリーがつながるように仕上げてみました。
    前回のラフをそのまま生かした部分は青色にしました。
    この時点で1800字程度です。残りの200字は推敲で調整するとしましょう。

    タイトル 『増殖する草』の謎

    風紀委員第177支部。
    佐天涙子は初春飾利の元を訪れていた。

    「ん~~! この甘い風味が口の中に広がります~」
    「初春、甘いモノばかりだと飽きない? ほらこれで口直しとかどう?」

    初春は『いちごおでん』とプリントされたおでん缶の中身と格闘していた。辺りにはいちごの甘い香りが充満している。
    佐天が差し出したのは酢昆布。事務所に来る前にコンビニで調達した代物だった。

    「いえいえ、それには及びませんよ! 飽きるどころかむしろ愛が深まっていくばかりです! それに心配いりません! 昆布ならこの中にもほら!」

    串でつついて昆布を取り出した初春はなぜか勝ち誇ったような顔をしている。

    「あ、そ……」

    佐天は興味なさそうに返事をすると酢昆布を口に含み、酸っぱさに顔を歪めた。

    「ところで佐天さん、何見てるんですか?」
    「ん~これ? いま話題の都市伝説、『増殖する草』 ってやつ」

    佐天がタブレット式の電子端末を操作して初春に見せる。
    おどろおどろしい文字で書かれた裏サイトの情報。それはある女子学生が体験したという恐ろしい話だった。
    増えゆく草に次第に精神は蝕まれ最後には骨と皮だけになってしまう……らしい。

    「その話なら私も聞いたことあるわよ?」
    「あ、御坂さん! それに白井さんも……」

    ちょうど御坂美琴と白井黒子が現れたところだった。
    手土産に持ってきた箱をテーブルに置くと、美琴は近くにあった椅子に腰を下ろした。

    「でもそれって迷信でしょ?」
    「それがそうでも無いらしいんですよ! 実際にその草の呪いだ~ってノイローゼになった子もいるってクラスメイトが話しているのを聞きました!」

    話に熱が入る佐天。彼女はこういう話をするのが好きなのである。

    「それは、深刻のようですわね……」

    黒子は人数分のティーカップを用意しお茶を入れて戻ってきた。
    最初は真剣に聞いてはいなかった黒子だったが、実際に被害が出ているとなると話は別だ。
    風紀委員としては見過ごせない現象ということなのだろう。

    「詳しく話を聞かせていただけないかしら?」

    黒子は佐天にその現象についての情報を求めた。



    「なるほど。大体、話は分かりましたわ」

    黒子は佐天から聞いた情報を再確認していた。
    女子生徒が数名ほど被害にあっている。趣味は文芸等多岐にわたるが、家事は苦手。

    「ま、典型的な箱入り娘ってところですわね。他にも気になることを言っていませんでしたの?」
    「えっと、何かに思い悩んでいる様子だったみたい、食事も喉を通らないほど……」

    周りの人が心配するくらい何も食べなくなったというのだ……

    「あの! こっちのスイーツも頂いていいですか! なんかとっても美味しそうで……」
    「……初春、太りますわよ?」

    先ほどいちごおでんを平らげたばかりだが、甘いモノは別腹なのだろう。初春は美琴が持ってきたスイーツに興味津々だった。

    「そうよ、それだわ!」

    美琴は何かに気がついたようだ。

    「初春さん、ちょっと調べてもらいたいことが……」

    「え、何ですか?」

    初春は今にもスイーツにかぶりつこうと大きく口を開けたところだった。



    「これが増殖する草の正体……ですの?」

    黒子がモニタを眺めると料理サイトのページが表示されていた。
    美琴が初春に調査を頼んだのはダイエットにオススメの料理。
    そしてあるサイトでダイエットに最適な料理として掲載されていたのは海藻サラダだったのである。

    「美味しそうな海藻サラダですねぇ~でもこれが何に結びつくんでしょうか?」
    「増殖する草。もしかしてワカメのことじゃない?」
    「乾燥ワカメってことですか!?」
    「そういうわけ。ほら、ここのページ……作り方は簡潔に書かれているけど、分量はお好みになっていて料理初心者には難しい内容じゃない?」
    「なるほど。共通点はダイエットと料理初心者。ダイエットという名目上誰にも相談できず、さらに料理をしたことのない人間がネットで得たにわかの情報で海藻サラダを作ろうとした結果……増殖する草のできあがりというわけですわね」
    「大量に戻してしまったワカメを食べ続けてゆくうちにノイローゼに……本末転倒とはこのことですね」
    「なるほど~ダイエットか。それで話の結末が骨と皮になってしまうってオチなんですね! それにしても御坂さん! どうしてこの少ない情報の中で乾燥ワカメだと分かったんですか?」
    「あ、えっと……佐天さんの食べてるのがちょっと気になって……かな」
    「え? え?」

    佐天が持っていた酢昆布。ちょっと変わったものが好きな美琴が興味を示さないはずはないのであった。

    END

    4-5 推敲をして全体を仕上げる(最終稿)

    読みやすさ分かりやすさに重点をおいて文章を推敲してゆきます。最終的にこのような形になりました。
    前回から変更した部分を赤色で表示しています。
    最終的に2400字程度になりました。仮に文字数制限があったとすればここから削っていなかればなりませんが、ここは気にせず目標達成ということにしましょう。
    今回このような形で前のバージョンからの比較をとってみましたが、同じセリフでも別のキャラクターが喋るように変更になっていたりしています。
    変化した部分を探ってみると面白いかもしれません。もっと推敲の余地はありそうですね……

    タイトル 『増殖する草』の謎(完成版)

    風紀委員第177支部。
    佐天涙子は初春飾利の元を訪れていた。

    「ん~~! いちごの甘い風味が口の中に広がって……幸せです~」
    「初春、甘いモノばかりだと飽きない? これで口直しとかどう?」

    辺りにはいちごの甘い香りが充満している。初春は『いちごおでん』とプリントされたスイーツなのかおかずなのか判別しづらい代物と格闘していた。
    佐天がオススメとばかりに差し出したのは酢昆布。彼女が事務所に来る前にコンビニで買ってきたものだ。

    「いえいえ、それには及びません! 飽きるどころかむしろ愛が深まっていくばかりですから! それに大丈夫ですよ昆布ならこの中にもほら!」

    串でつついて昆布を取り出した初春はなぜか勝ち誇ったような顔をしている。

    「あ、そ……」

    佐天は興味なさそうに返事をすると酢昆布を口に含み、酸っぱさに顔を歪めた。

    「ところで佐天さん、何見てるんですか?」
    「ん~これ? いま話題の都市伝説、『増殖する草』 ってやつ」

    佐天がタブレット式の電子端末を操作して初春に見せる。
    おどろおどろしい文字で書かれた裏サイトの情報。それはある女子学生が体験したという恐ろしい話のようだ

    「増えゆく草……次第に精神は蝕まれ……最後には……」
    「……最後には?」

    息を飲む初春。佐天はもったいぶってから最後の展開を告げた。

    「女の子は骨と皮だけになってしまっていたのです!!!」
    「きゃぁ~!! きゃぁ~!!」

    大声で叫ぶ初春。ちょうど御坂美琴と白井黒子が現れたところだった。


    「その話なら私も聞いたことあるわよ?」
    「外からでもうるさいぐらいに聞こえてましたわ、初春」
    「あ、御坂さん! それに白井さんも……聞いてくださいよ! 佐天さんがひどいんですよ! また怖い話を!

    美琴は手土産に持ってきたスイーツの箱をテーブルに置くと、近くにあった椅子に腰を下ろした。

    「でもそれってよくある迷信でしょ?」
    「それがそうでも無いらしいんですよ! 実際にその草の呪いだ~ってノイローゼになった子もいるってクラスメイトが話しているのを聞きました! それに一人だけじゃないんです! 複数の女子が体験しているらしいんですよ!

    話に熱が入る佐天。彼女はこういう話をするのが好きなのだ。

    迷信にしては事態が深刻のようですわね……」

    黒子は人数分のティーカップを用意しお茶を入れて戻ってきた。
    最初は真剣に聞いてはいなかった黒子だったが、実際に被害が出ているとなれば話は別だ。
    風紀委員としては見過ごせない現象ということなのだろう。

    佐天さん、その話詳しく聞かせていただけないかしら?」

    黒子はその現象についての情報を求めた。



    「――って言うのがこの『増殖する草』って話なんだけど」
    「なるほど。話は大体分かりましたわ」

    黒子は佐天から聞いた情報を再確認していた。

    「その『増殖する草』の話には複数の女子生徒が絡んでいる。能力等の共通点はありませんわね。趣味は文芸等多岐に渡っていてそこにも共通点はなし……」
    「あ、共通点と言ったら失礼かもしれないですけど、その子たちはちょっと家事に疎いっていうか……」

    「ま、典型的な箱入り娘ってところですわね。他にも気になることを言っていませんでしたの?」
    「えっと、何かに思い悩んでいる様子だったみたい、食事も喉を通らないほど……」

    周りの人が心配するくらい何も食べなくなったというのだ……ノイローゼ気味になるほどに。
    黒子はしばし考え込んだ。なんとも不可解な話である。これを怪奇現象と言わずしてなんというのか……。


    「あの! こっちのスイーツも頂いていいですか! なんかとっても美味しそうで……」
    「……初春、太りますわよ?」

    先ほどいちごおでんを平らげたばかりだが、甘いモノは別腹なのだろう。初春は美琴が持ってきたスイーツに興味津々だった。

    「そうよ、それだわ!」

    美琴は何かに気がついたようだ。

    「初春さん、ちょっと調べてもらいたいことが……」
    ふぇ? 何ですか?」

    初春は大きな口を開けて新しいスイーツにかぶりついているところであった。



    「これが増殖する草の正体……ですの?」

    初春がパソコンで調べた結果がモニタに映し出される。
    黒子は首をかしげた。そこに表示されていたのが料理のレシピを綴ったサイトだったからだ。

    美琴が初春に調査を頼んだのはダイエットにオススメの料理。
    そしてダイエットに最適な料理として掲載されていたのは海藻サラダだったのである。

    「美味しそうな海藻サラダですねぇ~でもこれが何に結びつくんでしょうか?」
    『増殖する草』 の正体はきっとコレのことよ!

    美琴はモニタに写った海藻サラダの写真を指さした。

    ワカメ? ……って乾燥ワカメってことですか!?」
    「そういうわけ。ほら、ここのページ……作り方は簡潔に書かれているけど、分量はお好みになっていて料理初心者には難しい内容じゃない?」

    初春と佐天が目を見合わせる。黒子が納得したように頷いた。

    「なるほど。食べ物を食べられない、悩み事、そして家事に疎い。共通点としてダイエットと料理初心者というのは十分考えられますわ。ダイエットという名目上誰にも相談できず、さらに料理をしたことのない人間がネットで得たにわかの情報で海藻サラダを作ろうとした結果……」
    『増殖する草』のできあがりというわけですね! それにしても大量に戻してしまったワカメを食べなければならないということでノイローゼになったとしたらなんとも切ない話ですね。……本末転倒というか

    初春は山盛りになったワカメを想像し、ため息をついた。

    「なるほど~ダイエットか。それで話の結末が骨と皮だけになってしまうってオチなんですね! それにしても御坂さん! どうしてこの少ない情報の中で乾燥ワカメだと分かったんですか?」
    「あ、えっと……実は佐天さんの食べてるのがちょっと気になって……それで、かな」
    「え? え?」

    佐天が持っていた酢昆布。ちょっと変わったものが好きな美琴が興味を示さないはずはないのであった。

    END

    5.終わりに

    いかがだったでしょうか。
    自身も二次小説を書いてみて、(けして上手いとは思っていませんが)それなりにまとまった文章を完成させることができるようになってきました。
    ここにまとまっているのは、本から得た知識も部分的にありますが、二次小説を書き始めてから再びプロの小説(ライトノベル)を読み返してみた時にこれはこういうことかと再確認したものがほとんどです。
    最後に重要だと感じたことをまとめましょう。

    重要なのは『書いて読む』このサイクルをどれだけやるか(できるか)

    結局はこれに尽きるようです。
    何を当たり前のことを……と思うかもしれませんが、やはり重要なことなので。
    このページが参考になるかはわかりませんが、小説を書こうというきっかけになれば幸いです。

    またこのページの続編である読者にとって心地よいライトな二次小説を書くための+αを追加しました。

    にゃんくるオリジナル小説、二次小説の一覧